ベネチア銀獅子賞「運命は踊る」名匠サミュエル・マオズ「古典的なギリシャ悲劇を描きたかった」(映画.com)

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出典元: イスラエルの名匠サミュエル・マオズ監督

[映画.com ニュース]第74回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞したイスラエルの名匠サミュエル・マオズ監督の新作「運命は踊る」が9月29日公開する。息子の戦死という誤報を受けたイスラエル人夫婦の姿を通して、人間の運命の不条理を、こだわり抜いた映像で描いたドラマだ。来日したマオズ監督に話を聞いた。

【動画】「運命は踊る」予告編

 テルアビブのアパートで暮らすミハエルとダフナ夫妻のもとに、軍の役人が息子ヨナタンの戦死を知らせにやってくる。ダフナはショックのあまり気を失い、ミハエルは平静を装いながらも役人の対応にいら立ちを覚える。やがて、戦死は誤報だったことが判明。ミハエルは怒りを爆発させ、息子を呼び戻すよう要求する。

–離れた場所で暮らすひとつの家族の物語で、登場人物たちの抗えない運命を描いています。物語が始まり、円環が閉じる様に終わる3部構成にした理由を教えてください。

 「私は古典的なギリシャ悲劇を描きたかったからです。この物語に登場する彼らは、自らの運命をおびき寄せてしまっている。そして、そこから救い出してくれる人間の助けを、どうなるかもわからずに拒否してしまうのです。物事は、すべて偶然の産物であると言うこともできますが、運命のいたずらを感じさせるものもあると私は考えていて、この作品では後者を描きました」

 「3部にした理由は、それぞれの幕で、中心となる人物の人物像を明確に反映するような構成にしたかったのです。1幕目のミハエルの場面では、シャープでシンメトリーに、幾何学模様を醸し出すような動きです。最後まで、見る者が不快感を催すほどにこだわった映像作りを心がけました。最後の母親のダフナのシークエンスは、シンプルで、緩やかなものを意識しています。そして2幕目のヨナタンは、夢見るアーティスト。地上から数センチ浮遊しているような描写です。そういったものを意識して、それぞれの幕を構成しています。この3幕で観客に感情的な冒険を与えたかったのです。1幕目ではショックを、ふた幕目ではトランス状態や幻惑させるような意識、3幕目はエモーションです。この3幕で、完全な球体が作れるのではないかと試みたのです」

–それぞれの幕で、脚本、映像的にもそれぞれ異なった手法を用いて物語が展開します。画角、カメラワーク、アニメーションなど、撮りたい画を優先して脚本を変えていくような部分もあったのでしょうか。

 「そうです。私の作品はまず映像ありきです。アイディアが浮かぶ時はビジュアルからなのです。例えば今回、ダフネの部屋に飾ってある抽象画は、ミハエルの心の中をエックス線で透視し、トンネルの中に引き込まれていくような絵を美術スタッフに依頼しました。私は、自然主義者ではないので、起こっていることを有り体に撮ることはやりません。観客に映画的な体験をして欲しいのです。それぞれの画が、登場人物の心の内を突き刺し、それを反映するような映像作りを心がけています。それは、マニピュレーションかもしれませんが」

 「そして、今作ではなにより、トラウマを抱えた人間の空気を感じて欲しかったのです。ビジュアルは、私のストーリーテリングの大きな柱のひとつになっています。ダイアログを完全否定するつもりはないのですが、基本的に敵だと思っています。ビジュアルでは一気に語ることができます。第1幕の引きのシーンでは、ミハエルが初めて吐く一言のセリフ『僕はひとりでいたい』のみで、あの彼の部屋の中から、彼がどういう職位をもって、どういう生活をしているのかがわかると思います。やりすぎといっていいほど意匠を凝らしたのです。そういうディテールが、ものすごく雄弁に彼の有様を語るショットなのです。それを言葉で説明すると、台本で3~4ページ使うところを、10秒で済ますことができるのです。言葉はそもそもフィルターでしかありません。人間の心情だったり、思いを直に伝えるのは視線や表情。ビジュアルは、ものすごく雄弁に語る、豊かな言語だと思うのです。美しいと言うにも、言葉ではいろんな表現ができますが、映像では字幕を読まなくてもその美しさがわかる。だから、ビジュアルありきだと考えます」

–それでは、監督はどのように画を作っていくのでしょうか。詳細なコンテをご自身で用意されるのですか。

 「私は視覚的に映画を見るので、レンズや照明をどうするかなどを事細かに撮影稿に書き込みます。こういう風に作ればいい映画になるという定型はありませんが、ある程度の原則はあります。そうやって、土台固めをきちんとして、初めて即興を入れてみよう、ちょっと飛躍しようと考えるのです。それは土台がなくてはできません。自分で絵を描けないので、コンテを作るときは3DCGのプログラムを用いて、ロケハン中に撮った写真や、内装の写真を重ねながら、その場の状況を作っていきます」

 「画家や詩人は自分の作品を独占できるので、ひとりで創造的な活動ができる人がうらやましいです。映画監督は時間的制約、予算のプレッシャーがある中で、一発勝負でシーンを作らなければなりません。それと、願わくば自分のことを理解してくれている人を頼らなければいけないという難しさがある。だからこそ、徹底的な準備が必要なのです。現場でリーダーシップを発揮するには、準備を重ねて、現場で動き、自分のビジョンはこういうものだとはっきり提言する。そうすれば人は、どんなことがあってもついて来てくれるのです。映画製作はプロセスですから、そのプロセスを楽しむことが重要です」

 「運命は踊る」は、9月29日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開。

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