PFFアワード2019グランプリは中尾広道の「おばけ」、最終審査員の白石和彌が称賛(映画ナタリー)

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出典元: PFFアワード2019表彰式の様子。左から山口優衣、中尾広道、キヤマミズキ。

第41回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)のコンペティション、PFFアワード2019の表彰式が本日9月20日、東京・国立映画アーカイブにて行われた。

【写真】中尾広道(メディアギャラリー他28件)

PFFアワードは、石井岳龍、黒沢清、園子温、塚本晋也、熊切和嘉ら多数の映画監督を輩出してきた自主製作映画のコンペティション。PFFアワード2019には、495本の応募作の中から18作品が入選した。このたびグランプリに輝いたのは、中尾広道の「おばけ」。中尾は「生きているうちに評価されてよかった」と話して笑いを誘うも「命を削って今の自分にできることを全部出したので」と感極まった様子を見せた。そして「やりたくないことは絶対やらない。やりたいことだけをやりたいだけやってしまおうと」と制作を振り返る。最終審査員として登壇した白石和彌は「満場一致で、オンリーワンの作品。この映画を語る言葉を僕は持ち合わせていません。中尾監督が“作家”だというのであれば、僕は全然そこまで行けていないと思わされました」と称賛を贈った。

準グランプリは山口優衣の「雨のやむとき」、審査員特別賞は清水啓吾の「きえてたまるか」、キヤマミズキの「くじらの湯」、今村瑛一の「ビューティフル、グッバイ」が獲得した。日本大学芸術学部出身の山口は「大学4年間温めてきた映画でした。たくさんの方に感謝したいです」と口にし、大阪大学の基礎工学部出身である清水は「映画の門外漢ですので、なんでこんなところにという気持ちです」と心境を明かす。映画制作にあたり、3700枚のガラス絵を描いたというキヤマは「ほかの作品と比べて自分の作品がすごく浮いていたので、まさか受賞するとは」と驚きを隠せない様子。今村は「去年の夏にかなり少ない人数で始め、自分を削りながら撮った作品です」と吐露した。

今回の表彰式には白石のほか最終審査員を務めた山下敦弘、映画プロデューサーの西川朝子、写真家の野村佐紀子がステージでそれぞれ総評を行った。自身は自主映画をほぼ撮ったことがないという白石は「思い立った衝動で映画を作って応募しているというだけでも尊敬に値すると思っています。どういう才能に会えるかなどころではなく、『これは作った人と僕との喧嘩だ』と思いながら1本1本気合いを入れて背筋を伸ばしながら観ました」と振り返る。「レベルが高い作品が多くて、核の衝動だけじゃないところで評価される時代になるんだなと。撮影も脚本も誰かに書いてもらって編集もできない僕からすると地獄のような戦いが毎年起こってるんだなと思わされました」と応募者へ敬意を表した。

また今回は欠席していた最終審査員の斎藤工からはビデオメッセージが到着。「ここ数年は海外の映画祭に行ってなるべく多くの映画の上映に立ち会ってきました。学生の映画祭の門をくぐるととんでもないクオリティのものがあり、特にアメリカの映画祭では『このレベルで学生映画なのか』と日本との差を感じることがあります」と語る。今回の審査で大事にしたことについては「これがゴールなのか、これをきっかけに次を見ているのか。その野心や欲望がうかがえる方に賞をあげたいなという気持ちが強かったです。メイドインジャパンで世界と戦っていく時代が来ていて、それに特化した5本が選ばれたのではないかと思います」と話した。

そのほかの受賞結果は下記の通り。なおグランプリ作品「おばけ」は、10月28日に開幕する第32回東京国際映画祭で上映される。第41回ぴあフィルムフェスティバルは明日9月21日まで国立映画アーカイブで開催中。

■ PFFアワード2019受賞結果
□ グランプリ
中尾広道「おばけ」

□ 準グランプリ
山口優衣「雨のやむとき」

□ 審査員特別賞
清水啓吾「きえてたまるか」
キヤマミズキ「くじらの湯」
今村瑛一「ビューティフル、グッバイ」

□ エンタテインメント賞(ホリプロ賞)
草場尚也「スーパーミキンコリニスタ」

□ ジェムストーン賞(日活賞)
草場尚也「スーパーミキンコリニスタ」

□ 映画ファン賞(ぴあニスト賞)
橋本根大「東京少女」

□ 観客賞
末松暢茂 「OLD DAYS」

□ 特別設置:ひかりTV賞
城真也「アボカドの固さ」

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